プレスリリース
報道関係者各位
2019年11月29日
Fridays For Future有志
グローバル気候マーチ賛同団体有志
COP25に向けて、若者主導で気候変動対策を求めるマーチを日本各地で再び開催
~25都府県で延べ数千人が参加~
本日、「気候危機」への対策強化を呼びかけるため、日本国内各地の子ども・若者・市民の有志が、世界で通算4回目となる「グローバル気候マーチ(Global Climate Strike)(注1)」を25都府県(注2)で開催し、延べ2000人が参加しました。
この1週間だけで、二酸化炭素排出量の増加と地球の気温への影響に関する3つの報告書(注3)が発表されています。 これらの報告書は全て、気候変動の恐ろしい実情と対策の不十分さが現在引き起こしている、そして今後引き起こすであろう世界的な影響を明示しており、温暖化の主な原因であるCO2排出量増加へ寄与する化石燃料の生産と関連事業への投融資や公的助成を止め、排出量を緊急に削減することの必要性を明らかにしています。それに逆行するような形で、日本政府がCO2削減目標を2030年まで据え置くと決断したと報じられています。(注4)
イギリスの総合学術雑誌「ネイチャー(Nature)」が11月27日に発表した最新の記事によると、懸念されている、フィードバック現象により制御不可能な温度上昇が始まる「ティッピングポイント」が、1℃から2℃の温度上昇でも引き起こされる可能性が指摘されています(注5)。なお、同誌で多岐にわたる気候災害の一つとして、地球温暖化が進み、海水温が上昇すれば台風の威力が増すという研究も発表されています(注6)。現在の各国の目標が全て達成されたとしても3℃の気温上昇が起こるとされており、このままでは、日本各地で甚大な被害をもたらした台風15号、19号のような異常気象がもはや日常となってしまう未来を人類自ら選択しているようなものです。
そのような状況の中、若者たちが再び立ち上がることを決意しました。本日行われた第4回目の「グローバル気候マーチ(Global Climate Strike)」は12月2日よりスペインのマドリッドで開催される「気候変動枠組み条約締結国会議(COP25)」に先駆け、大量消費社会の象徴とも言えるブラックフライデーである本日11月29日に、地球が気候変動によって危機的な状況にあり焦眉の問題だというメッセージを世界中で発信するために実行されました。
日本全体としてのグローバル気候マーチの目標は、以下となります(注7)。
- 気候危機を危機として、政府、市民が意識することを呼びかける
- 気候正義の概念の定着(気候変動問題における、経済的南諸国への不正義、若者に対する世代間の不正義、そして、経済的、または身体的弱者に対する不正義の認識と緩和への努力の必要性)
- 政府、地方自治体にパリ協定の1.5度目標に整合する具体的で中身のある政策を求め、その姿勢の表明としての気候非常事態宣言の発令
本日、国内での「グローバル気候マーチ」は少なくとも25都府県延べ28の企画が実行され、全体で2000人が参加しました。その中でも東京で行われたマーチが最大級であり、600人の若者、大人が「気候危機」への警鐘を呼びかけ、東京都議会に対して「気候非常事態宣言」の決議を促しました(注8)。世界では157ヶ国以上で3400以上の企画が予定されています。
9月に行われたグローバル気候マーチに比べ、参加都府県、企画数、さらに賛同団体数(注9)ともに増えており、グローバル気候マーチが日本全国規模の運動へと広がりつつあることを示しています(注10)。
日本各地における「グローバル気候マーチ」イベントの写真、動画はこちらからご覧になれます。順次アップされますので、クレジット表記されていない素材には、「グローバル気候マーチ」をクレジットとしご利用ください。
https://drive.google.com/open?id=1mgmkpSoPwCRMmnOBKbQN-syp_2t3KVOk
<東京のマーチの写真、動画はこちら。クレジットは、「FFF Tokyo」でお願いいたします。>
https://drive.google.com/drive/folders/1uSSZs_eT_BkAX5uz_AD-i8h4q9tb-iXq?fbclid=IwAR3KH2uJOKUHNdTC1B39Xd6FuRfgUhuie2i0S9SLWBz_4QPYKeaqzlsz-Lg
注:
1:グレタ・トゥーンベリさんが一人で始めた学校ストライキが世界規模に発展したグローバル気候マーチには、日本でも各地のFridays For Futureが第1回目から参加し、第3回目の9月からは大人も参加するようになった。
グローバル気候マーチ 特設ウェブサイト https://ja.globalclimatestrike.net/
2:25都府県(岩手、宮城、福島、栃木、東京、神奈川、石川、山梨、長野、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、島根、岡山、広島、鳥取、愛媛、高知、福岡、熊本、大分、鹿児島、沖縄)https://docs.google.com/document/d/1MWG5Q2soxUNa7iAXFI2J4Fyz6JOLhRmaycX57a9Sezs/edit?usp=sharing
3:国連環境計画排出ギャップ報告書2019(https://www.unenvironment.org/resources/emissions-gap-report-2019)は、パリ協定に基づいて各国が提出している二酸化炭素排出削減努力目標のみでは世界は3.2°Cの温度上昇に向かっており、G20諸国は全排出量の78%を占めていると示しています。
国連環境計画生産量ギャップ報告書2019(https://www.unenvironment.org/resources/report/production-gap-report-2019)によると、このままいくと2030年時点の化石燃料の生産は2℃目標を50%、1.5℃目標を120%上回ると記しています。
世界気象機関報告書(https://public.wmo.int/en/media/press-release/greenhouse-gas-concentrations-atmosphere-reach-yet-another-high)には、気候変動の原因となっている温室効果ガスは2018年で過去最高の407.8ppm を記録し、減少する傾向は全く見えていないことが記されています。
4:https://this.kiji.is/570353356225414241
5:https://www.nature.com/articles/d41586-019-03595-0
6:https://www.nature.com/articles/s41467-019-08471-z
7:詳しくは、https://ja.globalclimatestrike.net/1129goal/ をご覧ください。
8:各地のFFFでも同様の動きがある。FFF 東京による請願書、FFF大阪による請願書、FFF京都による請願書、FFF名古屋による請願書(掲載予定)。FFFKobe記者会
https://ja.globalclimatestrike.net/1128/
9:NGOをはじめ8つの企業及び40団体がマーチへの賛同を表明(2019年11月29日現在)https://ja.globalclimatestrike.net/partners/
10: 12月6日に浜松市において開成会館生徒会チームによるマーチが予定されています。
本件に関するお問い合わせ
グローバル気候マーチ
Email: globalkikomarch@gmail.com
Fridays for Futureについて 2018年スウェーデンの女子生徒グレタ・トゥーンベリさんが、「気候変動は人類の生存に対する何よりも重大な脅威であると言い続けていながら、皆これまでと変わらない生活をしているのは理解できません。温室効果ガスの排出を止めなければならないなら止めるべき」と、たった一人で始めた気候危機に対するスクール・ストライキは、世界各国の若者の共感を呼び、今では大きなうねりとなっています。日本でも5月に行われた東京でのマーチには総勢250人が参加しました。そして私たちは東京、名古屋、大阪などの国内の複数都市で同じようにFridays For Futureを立ち上げ活動を始めました。 |
気候危機について 産業革命前から現在までに地球の平均気温は約1℃上昇しました。たった1℃の上昇によって既に、人間社会の危機と捉えられるような事象が多発しています。日本では昨年6月〜9月における熱中症死者が1518人となり1、2019年7月29日~8月4日までの間に最多1万8347人が緊急搬送されました2。ヨーロッパではフランスなど各地で40℃を超える熱波を観測しています3。また、1980年代とくらべ異常気象による気象災害の数は3倍と増えており、豪雨や洪水、干ばつなど気候変動に起因する災害による世界の経済的損失は、1998年から2017年の間で2兆2500億ドル(約252兆円)に上り、それ以前の20年間に比べて150%増加した4。 |
パリ協定とIPCCの1.5℃報告書 2015年、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で合意されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち1.5℃に抑える努力をするという長期的目標を掲げ、加盟国から目標値や長期戦略が提出されました。しかしパリ協定に参加する各国が提出した数値目標を達成しても、21世紀末には3℃の気温上昇が免れないと予測されています5。国連の気候変動に関する政府間パネル(以下:IPCC)は現在の排出ペースが続くと、早くて2030年には産業革命前と比べて1.5℃上昇すると警告しました6。1.5℃の上昇でも様々な被害が予測されますが、2℃の上昇と比べて1.5℃に抑えることで、被害を大きく減らすことができるとも発表しています7。IPCCは人間社会の壊滅を回避するためには、より積極的で革新的な社会の変化が必要であると警告しています。具体的に言えば、2030年までに全世界の二酸化炭素排出量を2010年の排出量と比べて45%削減し、2050年頃に排出ゼロにすることが必須だと結論づけています9。 |
注釈
1.熱中症による死亡者数(人口動態統計)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121413.html
2.”熱中症での救急搬送人数は1週間で1万8347人(2019年7月29日~8月4日).” news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190806-00137236/
3.”All-time temperature records tumble again as heatwave sears Europe.”
www.theguardian.com/world/2019/jul/25/europe-heatwave-paris-forecast-record-hottest-ever-day.
4.”気候変動による災害の経済損失が増加、直近20年は252兆円に.”
www.afpbb.com/articles/-/3192938.
5. “Global temperatures on track for 3-5 degree rise by 2100: U.N.”
www.reuters.com/article/us-climate-change-un/global-temperatures-on-track-for-3-5-degree-rise-by-2100-u-n-idUSKCN1NY186
6.”Temperatures to rise 1.5 degrees Celsius by 2030-2052 without rapid steps – U.N. report.”
www.reuters.com/article/climatechange-ipcc/temperatures-to-rise-1-5-degrees-celsius-by-2030-2052-without-rapid-steps-u-n-report-idUSL8N1WM0JJ.
7.”The impacts of climate change at 1.5C, 2C and beyond.”
CarbonBrief,interactive.carbonbrief.org/impacts-climate-change-one-point-five-degrees-two-degrees/?utm_source=web&utm_campaign=Redirect#
8.”Half a Degree and a World Apart: The Difference in Climate Impacts Between 1.5˚C and 2˚C of Warming”
https://www.wri.org/blog/2018/10/half-degree-and-world-apart-difference-climate-impacts-between-15-c-and-2-c-warming
9.”Summary for Policymakers of IPCC Special Report on Global Warming of 1.5°C approved by governments.”
www.ipcc.ch/2018/10/08/summary-for-policymakers-of-ipcc-special-report-on-global-warming-of-1-5c-approved-by-governments/
Update 11月29日